言語聴覚士さんに質問した「感音性難聴で高音域が聞こえない子にとって英語を習うのは難しいことですか?」の由来は、ふと目に入った(日本語の)英語学習に関するネット記事です。

「英語の周波数は2000〜12000hz、対して日本語の周波数は125〜1500hz」だから、日本人にとって英語の聞き取りは難しいという内容。

以前だったら何のことかさっぱり分からないhz(ヘルツ)という周波数、しかし今ではすっかり身近となった周波数。 

それが言語によって異なるとは知りませんでした。

息子は高音域が聴こえない(聴こえにくい)「感音性難聴」です。 この(下の)表で見ると、4000hz8000hz の間にある f,th,s の音が(息子のこの音域の聴覚は80dBなので)聞こえません。 補聴器をつける前は、発音もできていませんでした。(聞こえないから発音できない。)

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でも、この(下の)表を見ると、日本語にはここまで高い音域の発音はないんですね。

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だから、息子は日本語の方が現地語よりも上手に話せたのかな、と思ったのです。 そして、英語は特に周波数の高い言語だとすると、高音域が聞こえない息子には、英語がまったく聞こえない!?と疑問に思いました。 (じゃあ、英国で感音性難聴の人は、どうなるの?とも。)

そこで、言語聴覚士のC先生にお聞きしてみると、

「言語によって周波数が異なることは知っているけど、それが難聴者に影響を与えるとは聞いたことないわ。」という答えでした。

つまり、難聴者にとって、言語により聞こえやすい言語と聞こえにくい言語がある、ということはない。

難聴者にとって聞こえにくいのは、音域よりも「摩擦音」だそうです。 C先生はネットで検索して、日本語と英語の音声表記を出し、「日本語には、フとかザとか、あるのね〜」と、プリントアウトすると、摩擦音にハイライトしてくれました。

参考: 大辞林 特別ページ 日本語の音

音域よりも、ポーランド語など、シュシュという摩擦音がたくさん入った言語の方が聞き取りにくいともおっしゃっていました。

それから、私が疑問に思った(じゃあ、英国で感音性難聴の人は、どうなるの?)ですが、夫が知り合いの「アイルランドで生まれ育ち20歳で英国に移住し、今はこの第3の国に住んでいる80歳の男性」に聞いてみました。  この方、生まれたときから難聴だったそうですが、それに気付き補聴器を付け始めたのは成人してからだそう。 この男性にとって英語が聞こえにくい言語ということはありませんでした。 なぜなら英語は母国語であり、生まれる前から聞いている言葉です。 それより、外国語である今住んでいる国の言葉の方が、聞き取りにくいそうです。

それから、第3の質問「英語学習は今すぐ始めるべきですか?」の答えは、「今から英語を導入する必要はありません。 この子に今必要なのは現地語と日本語であり、この二つの言語の語順などを学ぶ方が先です。」

しかーし、実は先日、夫が「難聴児童のための特別学校」の見学に行ったのですが、そこの校長先生が「この学校では小学校1年生から英語を学び始めます。 通常は3、4年生から始めますが、難聴児にとって英語の習得が困難であることに気付いたので、早めに慣れさせることにしました」と説明していたというのです。

全体的に聞こえない難聴児の場合それほどでもないけれど、「感音性難聴」の場合、慣れない音を拾う(聞き取る)のが難しく苦労するそう。 そこで、音に慣れさせるということで、1年生から英語の歌をうたうなど、 英語に慣れ親しむための英語学習を導入しているそうです。 

英語の勉強というと、文法やスペリングなどをガンガン暗記するイメージがありますが、そうではなく、まず英語の音に慣れることが大切なんですね。 じゃないと、聞き取れないし喋れない。

学校でも英語は、国語•算数と並んで重要な科目。 やはり早期の対策が大切なようです。 (私もC先生が何と言おうが、今から英語を息子に導入しようと考えていたのですが。)

息子は英語の子供の歌が好きで2歳頃から聴いていました。 歌うのも好きで、歌おうとするけれど、歌詞はめちゃくちゃ、メロディーだけ。 今までは、そのままにしていたけれど、これから英語もきちんと発音できるよう正していこうと思います。 (導入するといっても、その程度かな。)
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