バイリンガルで聴覚障害と発達障害

5歳で感音性難聴が分かったバイリンガルハーフの息子、難聴学校に入学。 その後、発達障害(自閉症)の診断も出ました。 親としての備忘録、息子の成長の記録、欧州で暮らしているので日本とは言語も環境も異なりますが情報共有としてブログを始めました。

カテゴリ:感音性難聴とは > 発見まで

言語聴覚士のK先生と初めてお会いしお話していたとき、「それで、かかりつけ保健師の方は何と言っていたの?」と聞かれました。

「その内きちんと話すようになるわよ。 男の子は遅いのよ、としか言われませんでした。」と言うと、 怒ったように「いつも言葉の遅い子には聴覚検査をするように言っているのに」。

「聴覚検査をしたのは、4歳のときですね」と、私。 4歳での聴覚検査は義務となっています。

でも、K先生は、言葉の遅い子には早くに聴覚検査をし、早期に発見すべきだとおっしゃっているのでしょう。 そこで感じたのは、かかりつけ保健師と聴覚専門家の間の温度差。

あれから私たちは、息子のかかりつけ保健師を変更し、新しい方に何故替えたのか息子の難聴についてお話しました。 新しいかかりつけ保健師は、K先生と同年代のベテランの方。 で、その方も言っていたんですよね、「検査しても小さい子は集中できないので4歳になるまで聴覚検査はしないんです」って。

つまり、聴覚の専門家たちは、言葉の発達が遅いのは難聴の疑いがあるので聴覚検査をして早期発見につなげるよう要請している。 しかし、かかりつけ保健師の方では、 4歳以前の子に聴覚検査をしても集中できないので意味がないし、子供の言語発達には個人差がある、という認識なのです。 多くの子供達をさばくので、いちいち付き合っていられない、というのも本音でしょう。 以前のかかりつけ保健師と接していて、そう感じました。 

彼女は、息子が聴覚検査で反応ないのを見て、あくまで「集中できないからだ」と言い、聞こえてないという危惧はまったく持っていませんでした。 頭から聴覚検査は無意味と思っていたみたい。

それと、バイリンガルや複言語で育っている子の言葉の発達についても、両者に隔たりがあります。

かかりつけ保健師は、「バイリンガルで育っている子は、言葉が遅いのは当たり前。 モノリンガルより言語の習得にパワーも要するし、時間がかかる」という見解。 新しいかかりつけ保健師は「おまけに難聴だったら、聞くことに集中しなくてはならず、他の面の発達の遅れにもつながるでしょう」とまで言っていました。

しかし、言語聴覚士のK先生は「難聴だからって、幼児がいくつもの言語を習得するのに何の問題もありません。 現地語と日本語、同時にやっていくわよ。」と今後の展開を述べていました。

私はK先生の言葉に全面賛同です。 息子を見ていても、二カ国語を習得するのに難聴であることはまったく問題ではなく、また何の苦労もないのです。 (あくまで、幼児期からバイリンガル環境にいる場合。)

赤ちゃんのときから復言語で育っている場合、それが当たり前で、全ての言語を同時に自分の言葉にしていくようです。

もちろん、大きくなるにつれ個人差がでてくる例は身近に見ています。 環境から、どうしても現地語の方が勝ってしまう例は多いです。 でも、今の時点で息子は現地語と日本語、まったくの同レベルであり、二つの言語を使うことをまったく苦にせず、当たり前のことと思っている。 (正確には、二言語使うことに対して何にも思ってないと言うべきか。)

また難聴だから聞くのにパワーを要するというのも、こじつけ。 だって、生まれたときからよく聞こえていないので、それが当たり前の世界なのです。 聞こえないまま、聞き流しているだけです。 自分の他人の違いを認識し、自分は他の人たちより聞こえにくいと自覚したら、聞くことに力を入れるようになるでしょう。 でも、息子の場合は、それ以前の段階ので、まったくの自然体、聞こえないのが当たり前だから、特別力も入れていない。

こうなってみると、幼児期に、かかりつけ保健師だけに頼って身体の発達を診てもらう制度に、ますます疑問を感じてきますね。

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北欧の子育て支援制度である、妊娠から出産、そして修学まで、同じ保健師が「かかりつけ」として担当するシステムを日本にも導入したいと勉強する市民団体の記事を、以前日本のニュースで読んだことがあります。

私たちが住む国にも似たような制度があり、 看護士の資格を持つ人が子供が産まれてから就学するまで、 一貫して一人の子供を担当します。 赤ちゃんの時は数ヶ月ごとに検診に行き、予防接種及び授乳や離乳食のアドバイスをしてもらい、1歳半以降はほぼ1年ごとの検診。 発育のチェック、聴覚と視覚検診なども行います。

「どこの」かかりつけ保健師に行くかは、通常住んでいる場所から近い地域の保健師となりますが、丁度うちの子が産まれた頃、 地域外の保健師でも親が好きなところに変更し登録できるという新しい制度が始まりました。 その前までは、理由がないかぎり変更できなかったようです。

産まれて自宅に戻ったときから診てもらい、相談に乗ってもらっているので、私たちも担当の保健師さんを信頼していました。 でも、うちの場合、それアダとなってしまったんですね。

最初のうちは問題なかったのですが、私が担当の保健師に不信感を持ち始めたのは3歳頃のときでしょうか。 どこか息子は、他の子たちとは違うようだし、言葉の発達が遅い。 身内にアスペルガー症候群がいるので遺伝的に息子もアスペルガーの可能性があるのではないか、と訴えましたが、「個人差はあるもの。 この子は普通。 まだ3歳だから分からない。 男の子は言葉が遅いし、この子は2カ国語で育っている」とまったくこちらに聞く耳もたず。

そして、彼女が担当した子で、常に落ち着かず騒いでばかりいるので両親が、うちの子は「多動性(ADHD)」ではないかと心配していたが、1年後の5歳の検診に来た時には落ち着いた大人しい子になっていた。 なので、私は早くから発達障害のレッテルを貼ってそのような施設に子供を送りたくない、って言うんですね。

夫はそれ以上なにも言わず、また夫も「うちの子は異常だ」と決めつけたくないようで、そのまま引き下がりましたが、私はだんだんと彼女に不信感を持ち始めました。

だって、その子のケースは発達障害じゃなかったから良かったけれど、もしそうだった場合、対処が遅れ取り返しのつかないことになるかも。 発達障害に限らず、どんな病気でも、早い方が本人も親も助かりますよね。 

4歳の検診のときも、言葉が遅い、発音がおかしい、コミュニケーションが取れない、アスペルガーではないかと訴えたけれど、聞く耳持たず。 専門家である心理士に診てもらいたかったけれど、紹介してもらえませんでした。

そう、ここの制度では、自分で勝手に病院に行くことができないのです。 まず「かかりつけ保健師」が診て、必要と思ったら専門の病院に紹介状を出すというシステムなのです。

知人の息子さんの場合は、うちの子より一つ上なのですが、4歳の時に「かかりつけ保健師」が、喋り方がおかしい、吃音があり発音も不明瞭だと言語聴覚士を紹介してもらっていました。

このように、担当の保健師さんによっても対応が違うのです。

検診以外でも、何度か電話して相談しましたが、「私はたまにしか診ないんだから分からないわ。 毎日接している保育園の方に相談して」としか言われず、ほとんど無視状態。

本当に、親として子供のために何もできないのが、とてももどかしかった。 そして迎えた5歳の検診。 これが、この担当保健師と最後の検診。 保健師も「今日で最後ね。 後は学校医の担当となります」と言っていましたが、息子が就学するにはまだ1年半以上あるんですよ。 

そしてこのとき、ようやく心理士に紹介状を書いてもらったわけですが、4歳児検診時の聴覚検査の結果はまだ出ていなかったのです。 感音性難聴であり生涯補聴器が必要との診断が出たのは、この数日後。

なので、この担当保健師とは、診断が出てからは一度も会っていませんし、会うこともないでしょう。

聴覚関連の医師や先生からは「本来なら2歳のときから補聴器が必要なのに」と驚かれました。 なぜ今まで発見できなかったのか、保健師が検査しなかったのか?と。

生後数日で行う病院での新生児スクリーニングではひっかかりませんでした。 2歳くらいのとき、かかりつけ保健師が器具を使って耳が聞こえているかという検査はしていました。 本来、そこで発見されるべきだったよう。 そのとき、担当の保健師は耳の側で器具を動かし「あら、耳にぶつかったから反応したのかな。 ま、大丈夫ね。 聞こえているわね」とか言っていた。

あれも、おざなりにしていたのかな。 あの人は、息子の耳が半分しか聞こえていないなんて思ってもいなかった。 4歳児検診のヘッドフォンを付けての聴覚検査のときも「なかなか集中できないから、今日は無理ね。 でも、男の子って、そうなのよ。 注意力散漫なの。 一応あらためて検査をするけれど、急ぐ必要ないから」と言っていて、再検査は3ヶ月後になったのです。

再検査の時も、息子が反応しないのを診て「ここじゃあ集中できないみたいね。 病院でやった方がいいわ」と、あくまで息子の集中力の問題にしていて、聴覚異常など疑ってもいなかった。 だから、言葉の遅れと難聴を結びつけてもいなかった。

多分、過去に自分の患者に同じ症状がなかったのでしょう。 自分の経験を過信していたのかもしれませんし、おざなりに子供達を見ていても、今まで問題なかったのでしょう。

本当に、かかりつけ保健師が彼女でなければ。 信頼などせず、他の保健師に替えていれば。 でも、もう検診は1年に1回のペースで次で終わりだから、今さら替えても。 それに、他にどこの保健所がいいかなんて分からないしと、そのままにしてしまったため、全てが終わった後になってしまいました。
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最初に本格的な、測定器を使った聴力検査をしたのは、2014年2月5日。 保健所的なところで子供が生まれたときからの担当者(かかりつけ保健師)によって行われる4歳児検診にて。 ヘッドフォンをし、音が聴こえたら、手元にあるカゴの中のボールをもう一つのカゴに移すという内容。 他の検査を先にし、聴力は最後にしたから、子供が疲れて集中できないようなのでと、次回に持ち越し。 (この日は夫が連れて行ったので私は不在だったのだが、この時点で、疲れて集中できなかったわけではなく、聴こえてなかったのでは?)

持ち越された聴力検査は、5月9日に行われることに。 この日は聴力検査だけで、私が連れて行った。 前回と同じようにヘッドフォンをつけ、かかりつけ保健師が「ピープと音がしたら、ボールをこっちのカゴに移して」と息子に説明。 息子は相手の目を見て、分かったとうなずく。 しかし、最初のうちはボールをカゴに移していたが、そのうちキョロキョロするだけで音が鳴っても何もしない。 担当者は、息子に集中力がないか説明が分かっていないようだと思っているようで首をかしげている。 音が聞こえてないとは思っていないようだった。 ここじゃ無理なようだから病院で検査してもらった方がいいかも。 一応紹介状を送っておくわ、とのことだった。

その後、病院から連絡が来たが日にちが合わず、私たち両親とも聴覚に異常があるとはつゆとも疑わず、いつでもいいですよー夏休みが終わってからで、と答えたため病院での検査は9月の終わりにすることに。

9月29日、夫が連れて行く。 病院での検査では、高音が聴こえてないとのこと。 高い音がピーと鳴っても反応していない。 確かに発音にも問題がある。 しかし今回検査をした人は医者ではなかったので、再検査で専門医に見てもらうが、次回は多分12月か1月に、、、

そう、ここ福祉国家と言われていた国では、医療への待ち時間がものすごく長い。 財政難が医療現場を圧迫し、人手不足のため命に関わることでなければ、検査や治療は先延ばしになってしまうのです。

そして、12月になり、年が変わって2015年の1月になっても、病院からは一向に連絡なし。 耳のことがはっきりせず心配になっていたし、2月にはいってから病院に電話してみた。 すると、対応してくれた人は親切で「確かにお宅の息子さんの名前は、リストにあります。 でも、今は医師が3人しかいず、リスト待ちの人数も多く、いつ検査の順番が回ってくるか分かりません。 今、私ができることは、息子さんの名前の横に”緊急”マークを付けておくくらいです。 それでも、いつ診てもらえる保証はありませんよ」と言ってくださった。

本当に、このとき電話してよかった、電話で対応してくれた人が機転を利かせてくれてありがたかった感謝することに、なんと1週間も経たずに病院へ検査にくるようにとの通知が届いたのです。

 3月18日に病院での検査(聴覚測定専門の医師によるもの)。 夫が連れて行く。 やはり高音域が聴こえていない。 しかし、子供の聴覚検査は念のために3回はする必要があり、またの再検査へ。

3月31日再検査(医者によるもの)。 そして、ここで「この子は一生補聴器が必要です」と 決定。 このとき息子は検査を嫌がり暴れまくり、大変だったそう。 おまけに、今回診てくれた先生はとても厳しく真面目な物言いだったためか、夫は息子が一生「補聴器」着用ということに大ショック。 

この日は私も病院には一緒に行ったけれ、待合室で待っていて、その現場に居合わせていなかったので、まだよく状況が分かっていませんでした。 補聴器を着ければ聴こえるんだなぁと、難聴についてまったく無知な私は、楽観的に考えていたのです。

最初の検査から、1年以上たってからの発覚。 そして、言葉を取得するのに一番大切な最初の5年を失ってしまった息子。 

この日から、怒濤のごとく私たちの生活に変化が訪れます。 一転して、難聴と補聴器との共存 の生活。 でもそれは、楽観的ではないけれど、とてもポジティヴなものとなりました。
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我が息子は、どこか他の子たちとは違うよう。 言葉が遅めだし、話し方や発音もなんだかちょっとヘン。 人の話を理解していない面もある。 でも、きちんと聴こえているようだし、一応コミュニケーションのうえでは問題はない。 でも、やっぱりおかしい。

最初に疑ったのは、発達障害。 親族にアスペルガー症候群がいるので、 遺伝でアスペルガーであるに違いないと思っていました。 

3歳までは社交的ではなく、他の子供達と好んで遊ぶ様子はなかったし。 しかし、その後はやたら人懐っこく誰彼と遊びたがるのが、知らない子ばかりでなく、中高生や大人に対しても同じ態度で近寄って行く。 かと思うと、全然会話が成り立たず、やはりコミュニケーションに問題があるよう。

集中力に欠けるのも、問題。

日本でいうなら保健所的な、予防接種や小学校入学までの心身の発達を定期的に診てくれる子供ケアセンターの担当者には何度も、検査の度にそれ以外のときにも相談したけれど、「別に他の子と違うとは思わない」「この子は正常よ」「発音や喋り方? おかしくないわよ」「男の子は言葉の発達が遅いもの「成長と共に変化があるから、今の段階では分からない」と、何の説明もなく、ただこちらの説明を打ち消すだけ。

保育園にも発達障害ではないかと随時相談したが、明確な症状は見られないので首を傾げるだけ。 

5歳になり、 ようやく例の担当者から臨床心理学士を紹介してもらえ、数回、1回は子供を交えて会うことができたけれど、、、 その臨床心理学士も「アスペルガーじゃないようだけど」。 (なんだか、人の話が分かっているのかいないのか、その人こそ心理学士に会う必要があるんじゃないか、と思っちゃうような方だったけど。)

何が我が子の問題なのか、その最初の原因の部分が分からないので具体的な解決方法が見つからない。 それが一番苦しく辛い。

それが、ついに、原因が分かった! なんと感音性の難聴だったのです。 多分、生まれつき。 それは、親である私たちにも、週5日間息子と過ごしている保育園の先生たちにも、祖父母にも、まったく思いがけない、考えたこともない、青天の霹靂 なことでした。

あ、青天の霹靂ではないな。 理由が分かり、今まで灰色の空だったのが、青く明るくなった気分でした。 ようやく青空が見えたのです。

 難聴とはどういうことか、私も分かっていないので、記録と共にブログに綴っていきたいと思います。
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