でも私は、その特別学校もちょっと気になったので夫に話してみると、「そんな小さな町に住んだら、何もすることないし、どこにも行くとこないし、人種偏見の塊な奴らばかりもが住んでいるぞ」と断固反対な様子。 小さな町出身の夫は、今住む都市部の暮らしの方が、問題もあるけれど、気に入っているよう。 仕事や友達の拠点もここですしね。
その夫が、「難聴児のための特別支援学校」S校に興味を持ったのは、9月半ばに2回目のレクチャーに参加したときでした。 講師役の若いオージオロストが、このS校出身だったのです。
S校は、A市の公立学校ですが、広く県内及び周辺の県からも生徒を募っており、児童は学校のチャータータクシーで学校に通います。
オージオロストさんは学校生活について、小規模な学校なので全員と顔見知りで家族みたいな関係。 いろいろな地域から生徒が集まっているので、誕生日会となると、それぞれの町に招かれ、子供たちが遊んでいる間、親達はいろいろ話し合ったりできた。 週末に学校の友達と気軽に会えないのが寂しかったけど、大きくなるとお泊まりに行ったりした。 毎日タクシーに長時間乗らないといけないけれど、友達と一緒だし、それゆえに親密な時間が持てた。 とても充実した楽しい思い出を話してくれ、夫は息子にとっても良いんじゃないかと思い始めたようです。
そして、10月に行われた学校選びの説明会で、再びこのS校について好印象を持ったよう。
私は、そんな遠くに通わせたくないと思ったのですが、今度は夫が私を説得し始めた。 S校のホームページを見てみると、10月11月12月に1回ずつ、来年入学希望の保護者のための見学会が開かれていたので、夫に行ってみるよう勧めました。
まず電話してみると、すぐに連絡がつき、応対してくれた職員もキビキビしたフレンドリーな対応。
実は、B市にある「難聴児クラス」にも連絡を取ろうとしていたのですが、電話は繋がらない、メールしても返事はない、難聴児支援施設にもその学校からのコンタクトが一切なく、情報がない状態だったので途方にくれていたのです。 それゆえ、余計にS校の対応には感心感激しました。
で、11月3日、夫はS校に出向きました。 説明会は13〜15時で、息子を保育園に迎えに行く時間とかぶるため、私は留守番。 帰ってきた夫は、設備も教師陣も申し分なく素晴らしい学校、息子が行くのはここ以外にない、とすっかりその気。
見学会に来たのは14人程の保護者で、両親揃って来られた方も多かったとか。 学校内部の案内や説明の他、卒業生も呼んでいて、見学者達に学校生活について語り、質疑応答の時間もとってくれたそう。
学校にはまだ生徒が何人か残っており、低学年の子が卒業生を見かけると走りよって遊んでもらいたがり、もう高校生である卒業生は、こんな小さな子と遊ぶなんて恥ずかしい年頃だけど、自分もこうしてかまってもらったから、と相手をしてあげたり、廊下にいた子を若い女性が手を引いて教室に連れて行く姿を見て「この学校の先生ですか?」と聞いたら「生徒ですよ」という答えが返ってきたり、生徒達の態度が、また素晴らしかったそう。
この学校のロゴ(学校名)が入っている、クリアファイル、メモ用紙、ボールペン、絵葉書2種、パンフレットのセットまで貰ってきて、びっくり。 公立学校で、このようなものが揃っているなんて。