バイリンガルで聴覚障害と発達障害

5歳で感音性難聴が分かったバイリンガルハーフの息子、難聴学校に入学。 その後、発達障害(自閉症)の診断も出ました。 親としての備忘録、息子の成長の記録、欧州で暮らしているので日本とは言語も環境も異なりますが情報共有としてブログを始めました。

カテゴリ: 難聴児の学校選び

最初にこの「難聴児のための特別支援学校」について知ったのは、昨年の9月初めに難聴児支援施設でアドバイザー(カウンセラー)のお二人と2回目のミーティングをしたとき。 私たちが息子の小学校入学について相談し、学校を選んでからその近くに引っ越す意向を伝えると、「だったらA市に引っ越しなさいよ。 難聴学校があるから」と冗談半分本気半分に言われたのです。 A市は、鉄道の駅があるから名前は知っているけれど、降り立ったこともない小さな町。 私たちが住むB市からは遠い。 夫は「電車はすぐ遅れるし、そんなところから職場に通えない」と笑い飛ばしていました。 そのとき、私たちが住むB市の学校に「難聴児クラス」があることも教えてもらい、漠然とそのクラスに入れようかと考え始めました。

でも私は、その特別学校もちょっと気になったので夫に話してみると、「そんな小さな町に住んだら、何もすることないし、どこにも行くとこないし、人種偏見の塊な奴らばかりもが住んでいるぞ」と断固反対な様子。 小さな町出身の夫は、今住む都市部の暮らしの方が、問題もあるけれど、気に入っているよう。 仕事や友達の拠点もここですしね。

その夫が、「難聴児のための特別支援学校」S校に興味を持ったのは、9月半ばに2回目のレクチャーに参加したときでした。 講師役の若いオージオロストが、このS校出身だったのです。

S校は、A市の公立学校ですが、広く県内及び周辺の県からも生徒を募っており、児童は学校のチャータータクシーで学校に通います。  オージオロストさんは学校生活について、小規模な学校なので全員と顔見知りで家族みたいな関係。 いろいろな地域から生徒が集まっているので、誕生日会となると、それぞれの町に招かれ、子供たちが遊んでいる間、親達はいろいろ話し合ったりできた。 週末に学校の友達と気軽に会えないのが寂しかったけど、大きくなるとお泊まりに行ったりした。 毎日タクシーに長時間乗らないといけないけれど、友達と一緒だし、それゆえに親密な時間が持てた。 とても充実した楽しい思い出を話してくれ、夫は息子にとっても良いんじゃないかと思い始めたようです。

そして、10月に行われた学校選びの説明会で、再びこのS校について好印象を持ったよう。

私は、そんな遠くに通わせたくないと思ったのですが、今度は夫が私を説得し始めた。 S校のホームページを見てみると、10月11月12月に1回ずつ、来年入学希望の保護者のための見学会が開かれていたので、夫に行ってみるよう勧めました。 

まず電話してみると、すぐに連絡がつき、応対してくれた職員もキビキビしたフレンドリーな対応。

実は、B市にある「難聴児クラス」にも連絡を取ろうとしていたのですが、電話は繋がらない、メールしても返事はない、難聴児支援施設にもその学校からのコンタクトが一切なく、情報がない状態だったので途方にくれていたのです。 それゆえ、余計にS校の対応には感心感激しました。

で、11月3日、夫はS校に出向きました。 説明会は13〜15時で、息子を保育園に迎えに行く時間とかぶるため、私は留守番。 帰ってきた夫は、設備も教師陣も申し分なく素晴らしい学校、息子が行くのはここ以外にない、とすっかりその気。

見学会に来たのは14人程の保護者で、両親揃って来られた方も多かったとか。 学校内部の案内や説明の他、卒業生も呼んでいて、見学者達に学校生活について語り、質疑応答の時間もとってくれたそう。

学校にはまだ生徒が何人か残っており、低学年の子が卒業生を見かけると走りよって遊んでもらいたがり、もう高校生である卒業生は、こんな小さな子と遊ぶなんて恥ずかしい年頃だけど、自分もこうしてかまってもらったから、と相手をしてあげたり、廊下にいた子を若い女性が手を引いて教室に連れて行く姿を見て「この学校の先生ですか?」と聞いたら「生徒ですよ」という答えが返ってきたり、生徒達の態度が、また素晴らしかったそう。

この学校のロゴ(学校名)が入っている、クリアファイル、メモ用紙、ボールペン、絵葉書2種、パンフレットのセットまで貰ってきて、びっくり。 公立学校で、このようなものが揃っているなんて。

school

この学校の概要については、また後で書きたいと思います。

保護者向けの見学会のあと、年が明けてからは子供も一緒に参加する体験入学の場が設けられるというので、そちらも申し込むことにしました。
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息子は今年6歳で、小学校にあがる年。 昨年の月に支援機関のアドバイザーさんたちと会合した際、小学校選びについても聞きました。

うちは公立とは別に、フリースクールと呼ばれる、各々の理念によって運営される学校にも幾つか申し込んでいたのです。 (キリスト教系、インターナショナル系、モンテソーリ系の3校。 しかし、希望者が多く入学できるのは宝くじに当たる率。)

公立の学校の場合、難聴児ための特別なケアは義務づけられ、必要な器具なども学校側が購入し、支援機関からの定期的な学校訪問もある。 しかし、フリースクールの場合、各々の学校の運営状態に任せることになり、必要なケアをしてもらえなかったり、経費は学校ではなく全て保護者が捻出したりするケースがあるとのこと。

ちょうど10月1日に、難聴児支援施設で学校に関する保護者会を開くというので、夫が参加しました。

内容:

保育園及び学校の選択、居住区管轄の学校か、難聴学級及び特別学校か。

公立の学校に対して、どのような希望を出せるのか? またリクエストを通りやすくするには?

学校の教師に対し、どのような教育的配慮、特別配慮を望むことができるのか? 

成功の秘訣。

その他、知りたい事柄についてのディスカッション。

 

さて、この日は定員30名のところ、ほぼ満で、参加者は小学校入学を控えているか、既に小学校にあがって1年か2年目といった子供の保護者たち。

また主に、ゲストとして呼ばれた「特殊教育機関の顧問」といった人物が話をし、質疑応答をしてくれたそうです。 聴覚障害児だけでなく、その他の障害や特殊ケースな児童を取り扱い、いろいろな学校に出向き、説明したり、事情を聞いたり、様々なケースを熟知している人。

ここの「聴覚障害児支援施設」は県の機関であり、学校の説明も県内に限ったこと。 県内には、手話で授業を進める「ろう学校」が1校、難聴児童を対象に口語で授業を進める「特別支援学校」が1校、学校に付属する形である「聴覚(難聴)クラス」が2校あるとのことでした。

これらの学校は小中一貫校です。 聴覚障害者のための高校は、全国に1校だけあるそう。

また、この国では、健聴者が大学(及び高校後の教育機関に)進む率は70%以上なのに、聴覚障害者の場合、10〜15%なのだとか。 よほどのモチベーションと本人の努力がないと進学は難しいようです。

特別支援学校は、通常の学校の授業についていけない場合はもちろんのこと、補聴器を恥ずかしがる子にも効果的とか。 周りも皆、補聴器をしているので、劣等感に苛まれたり、学校に行くのを嫌がったりする必要がないので。

通常の学校に行く場合、教師陣との信頼関係が重要になってくる。 頭ごなしに一方的な要求ばかりしていると、相手の教師も人間なので気分を害し良い関係が築けないので、なるべく下手にでましょうというアドバイス。

子供が満足していないようなら、学校やクラスを替える選択もあり。 担任が替わったら、子供の様子がグンッとよくなったケースもあり。 やはり人間関係なので、合う合わないが影響してくるといったアドバイスも。

県内の「ろう学校」は80年近くの歴史を持ち、重複障害児童も受け入れているが、授業は主に手話で行われるので、手話を知らない息子には向きませんが、夫が興味を持ったのは「難聴児のための特別支援学校」。 夫は、ここに息子を入れたいと思うようになります。

支援施設の方では、この日の後にも11月に、来年小学校にあがる子の保護者を対象とした、地域も県全体ではなく近隣の市に限定としたミーティングの場を設けたのですが、参加者がうちだけだったので開催されず。 また今年1月に上記の特別学校や学級を招いた学校説明会も開きましたが、うちは既に「難聴児のための特別支援学校」の見学会に参加し必要な情報を得ていたので行きませんでした。
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