「難聴児のための特別支援学校」であるS校は、約25年前に設立された公立の小中一貫学校。 ここ(私たちが住んでいる国)では義務教育の小中学校は一貫とされ、1年〜9年という数え方をします。 また、小学校入学の最初の年は1年生ではなく、「準備クラス(学年)」となります。 保育園では遊んでいるだけなので、準備クラスでは遊びの時間も多く取りながら、少しずつ国語や算数などの授業も導入し、1年生からの勉強に備える期間だそう。 なので、日本とは1年ずれることになるのかな?

S校に入学できるのは、補聴器や人工内耳をつけた聴覚障害を持った子供達ですが、重度の障害を併せ持っている場合は、そのための設備も職員もないので入学できません。 また、授業は全て口語で行われるので、聞き取れるだけの聴覚がない場合、手話で授業を行う聾学校を勧め入学は断るそう。

S校は独立した校舎を持ちますが、通常の公立学校の敷地内に隣接してあり、校庭や食堂、学童などを共有しています。 私は最初、特別学校だと健聴児との交流がない孤立した環境にいることになると心配していました。 でも、一緒に遊び学ぶ環境にも配慮しているようです。

少人数制で、学校全体の生徒数は60人まで。 個人個人に指導が行き届くよう、生徒10人につき、教師が4人付くようにしています。 教師はもちろん、特別な教職課程を学んだ人ばかり。 学校の設備は、聴覚視覚共に配慮されています。 勉強だけでなく、聴覚障害の心得といった日常的な問題にも取り組んでいるよう。 また、1学年から手話を科目として習います。

この学校の素晴らしいところは、概要として並べ立てるだけでなく、それら全てが実践され機能しているところ。 (口上だけで、実際は全然なってないこと、この国の公的な場では多いので、私なんて全てに対して諦めているのが現実なのですが。)

設立から今日まで、校長も教師陣もほとんど替わっていない面でも、この学校はとても安定しています。 私たちが住む都市の公立学校では、すぐに校長も教師も替わって、子供達が落ち着いて学校で学ぶ環境ができていないとよく聞きますので。

校長は、「この学校だって、問題は出て来ますよ。 でも、教師の目が常に行き届くようにしているので、問題の芽を見つければ、すぐに摘み取ることができます。」と話していました。

個人個人がスケジュールを持ち、不得意な面に力を入れるようにし、子供達が、勉強が分かる、勉強は楽しいと実感することを第一に考えています。 通常の学校では出来ないことですし、それゆえ難聴児が落ちこぼれる原因。 難聴児が必要なこと、全てに対して配慮されています。

聴覚関連の病院や支援機関内でも、絶対的な支持を持っている学校で、病院の言語聴覚士は、何度もS校を勉強のため視察しているそうで、「あそこには専任の言語聴覚士もいて、必要な子は放課後に指導を受けることもできるのよ。 息子さんにとってはパーフェクな学校よ!」とパーフェクトを連発していたとか。

保育園の先生やモンテソーリ教育に携わっていたご近所さんにもS校のことを話してみると、「素晴らしい。 息子さんにぴったりね!」と感心することしきり。

夫の友人の奥さんの友達の娘さんが人工内耳で、このS校に通っているけど親は学校に大満足だそう。 他にもS校について聞いたことがある人たちは皆、とても良い学校なんだってね!と言っています。

ところが、問題が、、、

息子は、この学校に入学できないかもしれない!

今までは入学希望者を全員受け入れてきたのですが、現在既に定員数に達し、卒業する最上級生の数より入学希望者が多い場合は断らなくてはいけなくなった。

例年入学者は、転入も含め5人前後のようですが、昨年は準備クラスの新入生だけで12人受け入れたそう。 今年は昨年程多くないようだけど、10人近く希望者がいるらしいです。 果たして息子は子の学校で勉強することができるのか、、、やきもきしています。
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