3回目のS校の体験入学で、保護者達は在校生の授業風景をちょっと見学させてもらいました。
ここの校舎ですが、平屋で、真ん中に広めの廊下が真っ直ぐ通り、その両側に教室がある、という構造です。 それほど大きくありません。 教室の数も、8〜10位かな?
最初に覗いたのは、3、4年生のクラス。 人数が少ないので2学年ずつ合同で授業をしています。 教室の真ん中に丸く寄せてある机を囲み、休憩時間なのか10時のおやつ?(果物や軽いサンドウィッチなど)を食べていました。 こういう風に食べているのは、ここの学校が特別だからか? でも、普通の学校でも食べていそう。 こっちは普通の学校でさえ、日本の常識からはずれているので、驚くことが多いです。
女性の先生が一人に、生徒は6人程。 引率の先生が「この学校の長所と短所は何?」と聞くと、「良いところは、みんな補聴器していること。 悪いところは、なし。」という答えが返ってきました。 みんな物静かだけど、楽しそうにお喋りしています。
次の教室は、5、6年生。 8人くらいの生徒がいて、中年男性の先生が前に立っています。 生徒達は前方に机を寄せて集まり、一人の生徒がタブレットで何かを読み上げていて、その横には年配の女性の先生がついていました。 この女性の先生は、手話の先生だそう。 教師の中には手話が出来ない人もいるので、通訳として手話の先生も授業に参加します。 男性の先生は体育担当で、スポーツに関する講義をしているところでした。
前方の机とはちょっと離れ、後方の机に一人座っている生徒がいて、その机に生徒と同じ位若い男性が腰掛けていました。 授業には参加しているようですが、何故この子は1人離れて座っているのか、またこの男性は生徒ではなくアシスタントなのか、不思議に思いました。
最後に行ったのは、日本の中学にあたる学年のクラスだったのですが、ちょうど授業前の休憩のようで、廊下の突き当たりにあるラウンジで生徒達がたむろし、教室に移るところでした。 一人の男の子がソファに寝転んだままなのを引率の先生が「これだから、この年齢の子は〜。 夜更かしして、眠いんでしょー」とふざけながら起こしていました。
これから始まる授業は語学で、皆それぞれが選択した語学の教室に移って行きました。 私たちが訪問したのは、現地語のクラス。 選択科目である語学は、多くが英語を選ぶようですが、中には他の言語を選ぶ生徒もいます。 しかし、外国語を学ぶのが難しい子、現地語の勉強に力を注ぐ必要がある子たちは現地語を選択します。
で、その現地語のクラス、なんと男子ばかり6人程。 語学は女子の方が得意とは定説ですが、難聴でも同じなのかな〜と思いました。 引率の先生が、また「この学校の長所と短所は?」と聞いてみると、一人が「短所は、朝早く起きなくちゃいけないこと〜!」と即答。
そう、ここの学校の生徒は、ほとんどが遠くから1時間〜1時間半程かけて通っているんですよね。 そのぶん早起きしなくちゃいけない。 それでも、みんな学校が楽しいみたいです。
中学生ともなると、思春期で難しい年頃ですが、ここのクラスにいる男子生徒達は、図体は大きいけれど、まだ子供っぽい純粋さがあるように思いました。 一般的に、難聴の子供達は健聴の子供達に比べ、内面の成長(成熟度)が遅く、精神年齢が本来の年齢より低めです。 保育園児である息子を見ていてもそうですが、小中学校でも、そのまま(一般よりも遅れ気味)なのかな、と思いました。
現地語のクラスは、理科の実験室を使っていました。 そして、現地語を教えていたのは、本人も難聴である中年の男性教師でした。 (聴覚障がいの学校や施設などでは、必ず数名は聴覚障がい者を雇わなくてはいけません。 聴覚障がいの子供達の気持ちを理解するためにも、必要だからです。 もちろん、その聴覚障がい者も教師の資格を持っていなくてはいけません。) 先生はご自分の補聴器を指し、「ご覧のように私自身も聴覚障がい者です。 ここの学校の設備は難聴者用に整っているので、私は授業をスムーズに行えます。 普通の学校では、私は教えられないでしょう」とおっしゃっていました。
どの学年の生徒達も、私たち保護者が教室に入ってきても、動揺する素振りはなく、気さくに受け答えをしてくれましたが、この学校には、よく見学者が訪れるので、慣れているそう。 また、少人数で、皆が同じように聞こえない喋れない難聴者なので、話すことに臆することはありません。 もし普通の学校で、もっと生徒数の多いクラスだったら、聞こえないこと、発音がおかしいことを気にして、発言できない子になってしまうでしょう、と引率の先生がおっしゃっていました。
(今のところ、息子は自分が聞こえていない、発音がおかしいことに気付いていないし、思ったことは何でも発言し、誰かまわず知らない人にも話しかけてしまう面があり、親は困っています、笑。 でも、環境によっては、そのような性格も萎えてしまうかも。)
難聴だけでなく、他にも軽い障害を併せ持つ子もいますが、やはり気になったのは、男の子たち。 女子はどの子も落ち着いているように見えるのですが、男子は何か、常にそわそわしているようなんですよね。 いや、本人はそんなつもりないでしょう。 普通にしているんでしょう。 でも、なんというか、「目の焦点が合わない」といいますが、体の焦点が合っていないような、そんな印象を受けるのです。 それって、息子がそうなのです。 男の子って、もともと注意力散漫なところがあるけれど、難聴も関係あるのか?

